2-3-7.子育てカウンセリング 事例集・母親編
育児、子育ての目次に戻る このページの目次に戻る
1-1妻が怖くて離婚する。母
最近、妻が怖いという理由で離婚を申し立てる人が増えているそうです。以前ではあまりなかった離婚の原因ですね。
以前は男性が女性に対して暴言や暴力を振るうことが一般的でしたが、最近では女性からの暴言や責められ続けることにより、夫が苦痛を訴える例が増えているそうです。
1-2 過度の責任感 母
これは、怒りの感情をコントロールしにくい女性が増加傾向にあるからでしょうか。
それよりも気になるのは、まじめな方、努力家である方が育児や家事に対して過度の責任感を持ってしまい、このような状態になってしまう例が多くなってきているという点です。いわゆる強迫観念とも言える状態です。
育児に関して大事にしている価値観やルールを夫が尊重してくれないなかったり、協力的でなかったりすると、イライラしてしまい、一定の我慢の限度を超えると、感情的にぶつけてしまう、という状況が発生しているのです。
これは、
- しっかりやろう
- ちゃんとやらなければ
- 周囲の人からどう思われるのだろうか
という思いから、なのだと思います。
ではなぜ、妻として、お母さんとして、このように追い詰められてしまうのでしょうか。それは、上記の強迫観念と健全性とのバランス上手にとることができていないからです。
自分が母として、優秀でなくてもいいのですが、せめて平均点が取れる状態でありたい。
自分の子供が突出していなくても、平均的であって欲しい。
育児に失敗したくない。周囲に母としてマイナスの評価をされたくない。
という思いが強くなり、中には強迫観念的にまで気にしてしまう方が増えているのです。
その結果、常に育児について、きちんとできているかを考える癖がついてしまい、尚且つそれが及第点であるかどうかを心配するようになっているようです。
その責任感、完璧主義によるストレスが強く維持されることにより、妻が育児や家事への夫の支援もまた、同じようにきちんと考え、実施して欲しいと願うようになり、それが強迫観念となり、怒りを抱えながら夫に当たってしまい、離婚に発展するようです。
それだけ、他人の目を気にする人が増加しているのですね。これはお母さんにとってとても心配な状態です。まさにイエローカード状態と言えましょう。
1-5 体罰をしない育児でより大きな心の傷となることも 母
体罰をしてはいけない、という考えもあれば、ある程度は必要という考えもあります。一体どちらが正しいのでしょうか。様々な専門家が是非について、語っておられると思います。ですが、今のところ、はっきりとした決着はついていないようです。
では、そらいろではどう考えるのでしょうか。そらいろでは、この二つのうち、どちらかが正しいという二元論で議論されていること自体がこのましくないと考えております。
和食と洋食はどちらが正しいでしょうか。 というような議論になってしまっているからです。
いくら注意しても、親に従ってくれないお子さんには、もしかしたら、体罰は必要な場面があるのかもしれません。また、体罰をしないと決めたお母さんのお子さんのが、メンタルが安定していると言えない場合もあるでしょう。 ここでは一つの事例を見つめてみましょう。
体罰禁止の育児を大切にされているお母さんの育児で、かえって心が傷ついてしまったお子さんの例がありました。子供が言うことを聞かないけれども体罰はいけない、いつもにこやかに説明することが大切であるという育児法を学び、実施されているお母さまの例です。皆さんと一緒に考えたい事例です。
この方はいうことを聞かないお子さんを叱ろうとすると怒りが出てしまったとき、それをいけないこととと判断し、我慢するように努めてきました。ところが、ある時期から、抑圧された感情を抑えることが難しくなってしまったのでした。
そこで、一緒にいると、いつかお子さんに怒りをぶつけてしまうという危機感から、次第にお子さんと一緒にいる時間を減らし、自室にこもるようになったのでした。
体罰禁止が絶対に正しいのでしたら、これでも、体罰を加えるよりは良いですね。ところが、このお母さんのお子さんはメンタルが不安定になり、問題鼓動を起こすようになってしまいました。
お子さんはなぜ避けられているかがわからないため、反って不安になり、お母さんに嫌われてしまったと思い込むようになってしまったのです。自分の存在は価値がないものと思い、居なくなった方がいいんだと思うようになったのでした。
事の深刻さが分かったのは、このお子さんがある時、お母さんに、
『ねえ、おかあさん、本当はボクがいない方がいいんだよね。』
と一言つぶやいたことがきっかけでした。お母さんは、ため込んでいた感情が一気にあふれ出てしまい、わんわんと泣き、わが子を抱きしめて、ごめんね、ごめんね。と何度も繰り返したのでした。
この直後、お母さんはカウンセリングを受け、お母さんが距離を置いたのはお子さんに怒りをぶつけないためだったのですが、避けられる理由が全く分からないお子さんは嫌われたと思い込んでしまったこと、
いけないことをして叱られるのでしたら理由が明白ですので、そのことを次から注意しようとします。だから、理由がはっきりとわかるように叱ることは悪いことではなく、場合によっては必要であること、に気付いていただいたのでした。
つまり、この少年は
- 自分が可愛くないからいけないんだ
- 自分が勉強しないから嫌われるんだ。
- 自分のこともともと嫌いだったんだ、妹や弟のが好きなんだ。
と勝手に思い込むようになってしまったのでした。その結果、見捨てられ不安の強い、アダルトチルドレン的なお子さんになってしまったのでした。
如何でしょうか。二元論で育てると、お子さんもお母さんもつらくなる時があります。大切なのは、白か黒かではなく必要性を判断し、バランスをとることと思ってください。