パーソナル心理学とは そらいろ 神奈川 用語集011 090201
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ここでは、自分らしく生きるための心理学、パーソナル心理学について解説します。
このページの目次
1.はじめに なぜ今「自分を知る」ことが大切なのか
現代は、かつてないほどのスピードで社会が変化し続けていると数十年前から言われておりますが、
その変化の度合いは徐々に加速してきているのではと思います。そして、変化が激しくなると、その変化に
対応することが優先となってしまいがちになります。
その結果、日々の人間関係や仕事、家庭などのさまざまな役割をこなす中で、
「本当の自分とは何か?」
という問いを置き去りにしがちです。
SNSでは誰かの成功や充実した日常があふれ、それと自分を比較しては落ち込んだり、
焦りを感じたりする人も少なくありません。
また、自己啓発に取り組んでも、なかなか続かず「自分は何をやっても変われない」と感じる方もいるでしょう。
このような背景の中、注目されているのがパーソナル心理学というアプローチです。
これは、表面的な行動の変化やスキル習得だけではなく、「自分という存在の本質」に深く向き合い、
自分らしい人生に戻すため、あるいは育て直すための心理学です。
2.パーソナル心理学とは何か?
パーソナル心理学とは、一言で言えば「自分らしく生きるための自己理解と内面の探究を深める心理学」です。
この心理学は、単なる学問的な知識や理論の積み重ねではありません。
それぞれの人の
●心の癖
●感情の反応
●価値観
●人生経験
に丁寧に寄り添いながら、自分自身を深く理解し、その理解に基づいて人生の選択を行っていくことを目的としています。
つまり、自分自身との対話を中心に据えた心理学であり、
●自分を知る
●自分を受け入れる
●自分を育てる
ための具体的な方法が詰まっています。
3.現代人が抱える悩み
パーソナル心理学が求められている背景には、現代人が抱える次のような深い悩みがあります
●人間関係のストレスや孤独感
●役割(仕事・家庭)に対する不満や迷い
●自分の強みや方向性がわからない
●自己啓発を試みても続かない・変われない
これらの悩みの共通点は、いずれも「自分という存在への理解の不足」から生じているということです。
私たちは小さな頃から、親や教師、社会の期待に応える形で育ち、
●本当は自分が何を感じているのか
●何を大切にしているのか
を置き去りにして生きてしまいがちです。
その結果、「本当の自分がわからない」という状態に陥り、何かを選択する際に自分の基準で判断できず、迷ったり、
周囲に合わせるばかりで心が疲弊したりするのです。
4.自分を知るとはどういうことか?
自分を知ると聞くと、趣味や性格診断、長所・短所を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、パーソナル心理学が目指す「自己理解」は、もっと深いレベルに根ざしています。
たとえば、
●自分の中にある無意識の思い込み(ビリーフ)
●子どもの頃の体験によって形成された感情のクセ
●外からの期待に応えすぎて自分を抑えてしまう傾向
●「良い人」でいようとして、本音を言えない自分
こうした、自分の「内なる世界」に気づき、言葉にしていくことが本当の意味での「自己理解」なのです。
パーソナル心理学では、このような自分の心の中のしくみに光を当てながら、
●どんな自分も受け入れる
という土台を築いていきます。
5.自分らしさの再発見と育て直し
パーソナル心理学は、「自分らしさ」とは最初から与えられているものではなく、
発見し、育て直していくものだと考えます。
幼少期の体験や人間関係の中で、本来の自分の個性や欲求は抑え込まれてきたかもしれません。
しかし、それらを再び見つけ出し、少しずつ表現できるようになれば、「自分で自分を生きている」
という実感が得られるようになります。
このプロセスでは、
●どんな自分もいてよい、と思えるようになる。
●他人に振り回されず、自分の軸で生きられる
●不安やモヤモヤの原因に気づき、対処できる
●無理をせず、自分に合った成長を目指せる
といった変化が起き始めます。
6.パーソナル心理学で用いられる主なアプローチ
パーソナル心理学では、以下のような手法やワークが取り入れられています
● インナーチャイルドワーク
幼少期の記憶にアクセスし、傷ついた自分を理解し、癒すことで、現在の感情のパターンに変化をもたらします。
● 自己対話・感情の言語化
「自分の本音」に耳を傾け、モヤモヤや不快感を言語化することで、感情との距離をとり、整理できるようになります。
● ビリーフチェンジ(思い込みの書き換え)
「私は愛されない」「失敗してはいけない」など、人生の足かせとなっている思い込みに気づき、新たな視点へと再構成します。
● 価値観の棚卸し
自分が大切にしたいこと、人生の軸にしたい価値観を明確にし、目標や行動と結びつけていきます。
これらの手法は、専門の心理カウンセラーと共に行うこともあれば、個人で日々の中で取り組むこともできます。
7.誰にとっても必要な「自分を知る学び」
パーソナル心理学は、心理的な不調がある人だけに必要なものではありません。
●もっと自然体で生きたい人
●自信を持って選択したい人
●他人に流されない軸を作りたい人
●人間関係で悩んでいる人
●自己肯定感を高めたい人
こうした方々にとって、パーソナル心理学は人生を見つめ直し、「自分らしさ」を回復するための大きな助けとなります。
8.まとめ ~本当の自分に戻る旅~
パーソナル心理学は、「自分らしく生きたい」と願うすべての人に向けた、やさしくて力強い心理学です。
自分の内面にじっくりと向き合い、自分を深く理解することで、ようやく他者とも健全に関われるようになります。
「もっと早く自分を知っていれば…」という後悔よりも、
「今の自分から、人生を変えていこう」と思えるその一歩が、何よりも価値あるスタートです。
パーソナル心理学を通して、自分を生きる人生へと踏み出してみませんか?
編集担当:井上 雅裕