2-7 性暴力、性的虐待の被害者の方の心の回復
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1.はじめに
このページでは、性暴力(レイプ)、性的虐待の被害に合った方の心の傷を回復もしくは緩和するためのカウンセリングについてご説明致します。
まず、皆さんは、このページを開いた瞬間、疑問に思われたのではありませんでしょうか。
そうです、私は男性カウンセラーであり、性暴力(レイプ)、性的虐待の被害者の多くは女性です。
ですので、「え、男性カウンセラーなの?」と思われた方もいらっしゃることでしょう。
最近でこそ、女性スタッフが加わり、女性スタッフも選択可能となっておりますが、私一人でカウンセリングを行っているときであっても、ご相談を多くいただいておりました。
私もそのように感じていて、カウンセリングルーム開業当初はこのお悩みを頂くことを想定致しておりませんでした。
しかし
近年、このお悩みでカウンセリングを申し込まれる方が増えております。
カウンセリングを行ううちにその理由がわかってまいりました。
今までのカウンセリングでは
●慰められることが中心でかえって自分が惨めに感じてしまう
●トラウマが具体的に治るようなアドバイスが欲しい
●恋人ができ、その方とのスキンシップができずに悩んでいるが、相談しても実際に改善がすすまない。
などのお声を伺うことができました。性的虐待などに関わるお悩みは大変お辛い状況が長年にわたって継続しますので、回復することができないと深刻な影響が出てしまうと思います。
そこで、カウンセリングルームそらいろでは、どのようにカウンセリングを進めていくかについてをご紹介し、ご検討されている方のためのお役に立てて頂ければと思い、このページを作りました。
2.どのような方が相談されているのでしょう
まず、どのようなクライアントさんが相談をされているのでしょうか。以下に性暴力(レイプ)、性的虐待のカウンセリングを実際に申し込まれるクライアントさんの特徴をまとめてみました。
(1)性暴力(レイプ)、性的虐待の被害を受けた後、ある程度の時間が経過している方
(2)あちこちのカウンセリングを受けたのですが、なかなか相性の合うカウンセラーさんと出会えず、そらいろの無料お試し電話カウンセリングにて相性が合うと思われた方。
(3)痛みを聞いてくれるカウンセリングだけではなく、具体的な解決方法を一緒に考えてもらえるカウンセリングを希望された方。
(4)ホームページを見ていて、自然が多いところのカウンセリングルームで相談しやすそうな雰囲気だった。
(5)近くに女性のカウンセリングルームがなく、そらいろが一番近くにあった。
上記のような方がそらいろのカウンセリングをご利用頂いております。もちろん上記以外の方もいらっしゃいますが、主にという観点でまとめさせて頂きましたので、その点、ご了承くださいませ。
3.カウンセリングの進め方
ー1.インテーク面接およびアセスメント面接
まずはインテーク面接とアセスメント面接を実施します。
性被害(レイプ)、性的虐待、性暴力の被害に関するお悩みと申しましても、 様々であると思います。
被害にあった初期のお悩みから、長年経過しても辛さが薄れることがないというお悩みまで、被害発生からの時間の経過という面だけでも様々です。
その他にも被害の形によって様々な状態があり、更には周囲の方のご理解の状況によっても、辛さが変わって参ります。
○新たにできた彼との関係が一定の深さより親密にならない
○彼との性行為、スキンシップができない、楽しめない、緊張する
○彼に過去のことを打ち明けようか悩んでいる
○父や兄弟を許したいという気持ちと絶対に許せないという気持ちが葛藤している
(親族が加害者である場合)
○いくら周囲の方が慰め、認めてくださっても、自分を汚れた存在であると思ってしまう。
○自分は愛される価値があると思えない
上記の他にも多くの事情があると思われます。
そこで、インテーク面接において、クライアントさんがどのような状況で、どのような辛さがあったのかを伺って参ります。そして、このカウンセリングにおいて期待する思いなども聞かせて頂きます。
次にアセスメントを行います。この過程においては、お聞かせ頂いた状況を踏まえ、クライアントさんの人格的側面、現在の状況、今後の望まれる方向などを考慮し、どのように進めて行ったらよいのかを検討し、ご説明致します。
その上で、ご意見を伺い、クライアントさんの望むカウンセリングの方針を決めて参ります。
方針が明確になりますと、少しの期待を感じ、スッキリ感も若干出てくると思われます。
過去のことを丁寧に吐きだす必要があるかどうかはあくまでクライアントさんご自身のお気持ちによります。こちらから積極的に伺う事は避けております。
カウンセラーに聞いて欲しいというお気持ちの時に話して頂ければ宜しいと思いますし、話したくない場合は話さなくて大丈夫です。あくまでクライアントさん中心で進めています。
ー2.具体的な進め方を検討します。
カウンセリングの方針が決まりましたら、具体的に何をどうしたらいいのかをご一緒に考えて参ります。あくまでカウンセラーとクライアントさんが一緒に考える形をとります。
カウンセラーが指示してクライアントさんが従うというやり方ではあまり成果が望めないからです。ご一緒に対策を考え実施していく、というチームのような感じで進めていけたらと思います。
例えば
『彼に全てを話したあと、彼の様子がおかしい。距離を感じるようになった。』
というお悩みの場合、
○彼はどのような気持ちなのかをご一緒に推測してみます。交わした言葉、メール、ラインの文面など推測します。
○クライアントさんはどういう心構えで居たらいいのかを検討します。
○具体的にどのように接したらいいのかを検討します。
○どういう言葉を使うのがいいのか、会話やSNSのやり取りで気を付けるところなどを一緒に考えます。
などについて、ご一緒に、尚且つ具体的に、日々できる対策を見つけてみましょう。
ー3.具体的な進捗管理を実施します。
回復という面においては、一番大切なところがこの進捗管理になります。過去に同様のカウンセリングを受けて、なかなか問題が解決しなかったクライアントさんのご事情を伺ってみると、この部分がうまく機能していなかったという印象を受けます。
進捗管理を行うという感覚がないと、問題の解決には至りにくいとそらいろでは考えております。問題の解決の方向性を伝えて、あとはクライアントさんの努力次第。という場合が多い能力かもしれません。
しかし、実際に取り組んでみると、最初の方針を考えたときのようにスムーズに展開しないことが多いものです。
むしろ、それが通常ととらえ、最初に考えた通りに行かないときのが多い、だからこそ、話し合いながら徐々に修正していくということを大切にできたらと思います。
流れが良い方向に進まないときにも、関わる人の心理が関係します。心理とは心を理解すると書きますね。関わる方の心理を分析し、仮説を修正しながら、よりよい取り組みへと修正することで問題の解決に向かうことができると思います。
ー4.プラスの側面を育て直しに着手します。
回復という面においては、前項の3が最も大切なのではと思いますが、
●良い人生にする
という点においては、こちらが大切になります。
どういうことかと申しますと、私達は人生においていろいろ、人には言えない辛い、苦しい体験をするものです。そして、そのつらさを軽減し、次に失敗しないようにする。ということを最優先にしがちです。
しかし、その結果、日本人は成功することよりも失敗しないことを大切にするようになってしまったのではないか、と感じております。これはあくまでも私、個人の意見です。
●プラスの面は望めない。だけど、せめてマイナスは少なくしたい。
こういう考え方が一般的になってきている印象を受けるのです。
そこで、この段階では、人には必ずあると思われるその方の良い面、魅力的な面を伸ばすことを実施していきます。
そらいろのカウンセリングはここが特徴的であろうと思います。人としてより良く生きて行くために、マイナスだけを削ると、出来上がるのは、
金太郎あめ
のような似たような人格が育ってしまうかもしれませんね。私達はプラスの側面とマイナスの側面が両方あって一人の人格です。
ご自身のプラスの側面はどんなところなのか、そこをご一緒に見つけて育てていけたらと思います。私達は子供の頃から、良いところを育てられるよりも、マイナスを直されることが多い人生だったかもしれません。
ですが、これでは人はバランスの良い成長ができませんね。このカウンセリングをきっかけに本来自分に備わっている可能性を引き出して、笑顔のあふれる人生にしましょう。
ー5.カウンセリングのご卒業に向けて。
カウンセリングの卒業というのはどんな感じなのでしょうか。うつ病の方が回復するというのと、性被害を受けた方が回復する、というのでは若干の違いがあります。
うつ病は最近では誰でもなってしまう心の病というイメージが育ってきております。しかし、性被害となると、だれでも体験する可能性はあったとしても、
だれもが体験するものではないため、被害者の方のダメージは心の病の方のダメージとは違う辛さがあると思うのです。
そこで、そらいろのカウンセリングにおていは、この辛さを抱えた方が、明るい未来、明るい人生を取り戻せるように、ということを念頭に置いて進めて参りたいと思っております。
ー6.性暴力、性的虐待のカウンセリングにおける留意点
性暴力(レイプ)、性的虐待などの性被害の心の傷は癒えることが非常に難しい傷であると感じます。その傷を癒していくにはどのようにしたら良いかを長年考えて参りました。いろいろな方法があると思いますが、そらいろのカウンセリングにおいては、
刷り込むような感じ
でカウンセリングを行うようにしております。
例えば
●あなたは決して価値のない存在ではないのです。心配しないでくださいね。
とカウンセラーがお伝えしたとします。この言葉がどれだけ心に伝わっていくでしょうか。おそらく、カウンセラーや周囲の方から、何度も繰り返し言われ続けてきた言葉ではないかと思います。
ですが、なかなか辛さが減らなかったのではないでしょうか。
それには理由があるのです。
伝える側の人は、伝えた言葉をすべて受け入れて欲しいと願い、伝えられた側の人は受け入れようと努力をすることが、うまく行かない理由なのです。
私たちの心は大きな傷を負ってしまいますと、どんなにきれいな言葉でも、癒しの言葉でも、受け入れるのにとても長い時間がかかるのです。
ではどうしたらいいのでしょうか。
1%づつ、相手の思いやりの言葉を心にはりつけていくようなイメージ、もしくは浸透するようなイメージをしてみるとよいかと思います。
一度に大きな改善をしようとすると、心は大きな負担を感じてしまいます。しかし、少しづつだと、案外大きな抵抗は生じないのです。
カウンセリングを受けて、大きく改善をした感じがしないと思うと、やっぱり自分の辛さは治らないのでは、と感じてしまう方が多いと思います。
カウンセリングを途中であきらめてきた方にこのお話をしてみると、これを知っていれば、違ったのかもしれない、とよく言われます。
ですので、
●今日のカウンセリングで1%だけ傷が癒えた
と心に刷り込んでみます。これを繰り返していくと、思った以上に心に蓄積していくものです。焦らずに行うことがポジティブに考えていく心を生み出してくれるのかもしれませんね。
肯定的な言葉を繰り返し、刷り込んで行く感じを大切にして参りましょう。
4.悩んでいるあなたへのメッセージ
このページを訪れてくださってありがとうございます。男性カウンセラーであるにも関わらずこのお悩みを相談されたクライアントさんの中には、私のルームが田舎にあって、のんびりとした雰囲気でカウンセリングができそうだったから、という方もいらっしゃいます。
何がきっかけになるか、わからないものですね。
そういうフィーリングのようなものも大切なのかも知れません。
最近では、キャンパスレイプなどと言う、高校や大学におけるパーティや飲み会での被害、先輩や友人の彼による被害なども増加の一途のようです。そして、この手の犯罪が増加しているという背景には被害に遭った方のうち、相当数の方が泣き寝入り状態にあるという現状があるようです。
上記以外にも、加害者が父、義父、親戚、おじさんであるため、お母さんに言えないという被害もあるのです。
また、正式に警察に被害届を出して事件としての立件が済んだ方であっても、最後にトラウマと向き合うことになるでしょう。
心の傷を一瞬で癒してしまう治療法は今のところございませんが、少しづつでしたら自信を回復し、自分らしさを取り戻し、明るい人生をつかめるきっかけを見つける事はできると思うのです。
お悩みの性質上、慎重にならざるを得ないと思いますが、このカウンセラーの考えを聞いてみたいと思われた場合、まずは、お問い合わせをなさってみてください。
1人でも多くの方が、自分らしさを取り戻すためのきっかけになることが出来れば幸いです。
あなたからのご連絡、お待ち致しております。