統合失調症(統失)心理カウンセリングで改善、回復を目指す|神奈川
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統合失調症は回復しにくい難病と思われがちです。しかし、カウンセラーと一緒に
心理的背景を分析したり、推測すると、理解と共感ができるようになります。
すると、自然に接し方が変わり、患者さんの状態も良くなり回復に向かうのです。
このページの目次
1.はじめに
実感のちがい。
厚生労働省ホームページには以下の記載があります。
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統合失調症は、およそ100人に1人弱がかかる病気です。
「不治の病」という誤ったイメージがありますが、こころの働きの多くの部分は保たれ、多くの患者さんが回復していきます。
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上記の記述は患者さんやそのご家族の方の実感されている現状との差が大分あるのではないでしょうか。
実際にカウンセリングにこられる統合失調症のクライアントさんは5年どころか、10年、20年あるいはそれ以上、苦しんでおられる。
ということがあり、尚且つ、病状も一進一退を繰り返している方が多いと感じます。
◎このページでは、なぜ、そうなってしまうのか、も含め、統合失調症の方の状態の改善、回復の方法を皆さんと考えたいと思います。
2.統合失調症とは
2-1.原因と契機
統合失調症の原因は、今のところ明らかになっていないようです。進学・就職・独立・結婚などの
人生の進路における変化が、発症の契機となることが多いようです。
ただ、それらは発症のきっかけではあっても、原因ではなく、真の原因は幼少期の強いストレスにあるのです。
契機、つまりはきっかけとそうなってしまう原因は同じ時期ではないことが多いようなのです。
幼少期に強いストレスによって精神の分裂状態が準備され、その後の強いストレスが
契機となって発病に至るという流れのが発病の流れのようです。
2-2.症状
幻覚【感覚】
妄想【認知】
生活の障害
会話や行動の障害
感情の障害
意欲の障害
病識の障害
などがあげられます。以下に説明をします。
〇生活の障害…日常生活や社会生活において適切な会話や行動や作業ができにくい陰性症状とも呼ばれます。
〇会話や行動の障害…話のピントがずれる、話題が飛ぶ、相手の話のポイントや
考えがつかめない、作業のミスが多い、行動の能率が悪い等。
〇感情の障害…自分の感情、他人の感情の理解ができにくい。
〇意欲の障害…物事を行うために必要な意欲が減少する。
〇病識の障害…病識とは、自分自身が病気であること、幻覚・妄想が病気の症状であること、がわからなくなります。
2-3.患者さんと接する際に心理的に注意すること
御家族の方、周囲の方が統合失調症の方と接するときに注意をして欲しい事があります。
カウンセリングルーム そらいろ では、こういったことをご本人、もしくはご家族の方にお伝えをするようにしております。
①健全な方向けの一般論を適応しないことが大切です。
・散歩しなさい
・みんなとごはんをたべなさい
・いい年なんだから、みんなやっている、社会人なんだから
・同じ時間に寝なさい、起きなさい、など。
→適度なかかわり【やる気が出る】と過干渉【やる気が喪失】
→保護【安心】と過保護【不快に思う】
上記の差を具体的な事例をもとに判別できるようになることも大切ですし。主体性の育成こそ、改善・回復への近道と言えます。
②感情の状態の変化が激しいときもあるので、前に良かったことを今後も良いと
判断しないようにする。あくまで、その時、その時の心理を分析して解釈しましょう。
③ご家族が理解できない状態、どう接したらいいのかわからないときは、
一緒に推測をしてくれる人と一緒に考えてみましょう。例えばカウンセラー、
④良くしようとして、結果的に過干渉になっていることが多いので注意しましょう。
→適度なかかわりは、前向きになります。 →過干渉は後ろ向きになります。このことを忘れないようにしましょう。
⑤行動療法は難しいと知る。心に前進したいと思う気持ちが一定以上増えないと、いつまでも社会復帰ができない。
3.一般的な治療
一般的な統合失調症の治療は通院と投薬になります。
認知療法などを積極的に実施されている患者さんは少ないようです。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)やデイケアに取り組まれている方は多いように感じます。
それと、心理カウンセリングに取り組まれている方も少ないようです。多くの場合、
やってみたがあまり意味がなかった。と感想を教えてくださいます。
おそらくは、傾聴主体のカウンセリングだったのかもしれません。
4.そらいろのカウンセリングの特徴
統合失調症の方への心理カウンセリングにおいて、気を付けていることをお伝えしします。
統合失調症の方のお辛いお気持ちをお察しするためには、傾聴カウンセリングは有効と思います。
しかし、改善、回復に向けて進んでいくのであれば、傾聴カウンセリングのみ、では認知の修正や自尊感情の育成が難しいため、
改善、回復が難しいと思われます。そのためカウンセリングルーム そらいろ では以下のことを心がけております。
〇まずは、クライアントさんのお話しを丁寧に伺います。
〇妄想の可能性があるときでも、それを指摘し、修正するようなことは重要視せず、寄り添います。そしてその妄想が出る心理的背景に注目します。
〇妄想にはそれが出てくる背景があるという仮説のもとに、クライアントさんが深層心理で伝えたいことを探って参ります。
〇その深層心理についてクライアントさんと話し合い、心の深いところではこんなことが起きているのではないかと話し合います。
〇クライアントさんが心の流れを大切にするようにし、起きていることの背景にも注目できるようにします。
〇クライアントさん自身が心理に関心をもち、自ら、改善、回復していこうという意欲を育てることを大切にします。
〇同時にご家族や周囲の方の心理的な理解や治すというよりも育てることを大切にする環境づくりを大切にします。
5.具体的なカウンセリングの流れ
①相手の方とのコミュニケーションのなかから、掘り下げたいことを決める。
②深く掘り下げを行い、心理的背景を理解する。
③自分がお子さんの気持ちを分かったと思い、お子さんも分かり合えたと実感できたら、いい感じになります。
④分かり合えた感が育ってきたら、まずは、第一段階。コミュニケーションが害にならない段階の達成です。
⑤次に第二段階を目指します。自分が今できることのなかで色々と取り組もうとする状況です。
そうなると徐々に散歩に行く、食事を一緒に食べるなどに変化することもあります。
⑥第三段階はできないことへのチャレンジを考えたり、試したりする段階。例えば日帰り温泉に行ってみようかな、
とか、デイケアを利用してみようかな、など、今までにない範囲で行動する状況。
⑦第四段階では、社会適応への練習を日常的にできるような状態。ボランティア、
バイトや継続的な訓練を受けたり、採用先を探したり、実際に応募することなどもできるようになる。
※全体を通じて大切なことは、使う感情のうちプラスの感情の比率。
6.カウンセリングカウンセリングのご卒業のタイミングについて
カウンセリングは、いつ頃卒業するとよいでしょうか。これはよく質問されることです。
大まかにお伝えしますとタイミングとしては三つあると思います。
①大変つらい状況が緩和された状態のとき。 感情は-2くらい
②回復ができたと思えたとき。 感情は±0くらい
③自信が回復し、自己愛が成長できたとき。 感情は+5くらい
一般的なカウンセリングで多いのは①の時ですが、再発の可能性がとても高いご卒業の時期でもあります。
また、②の状態でも過去の認知の歪みの修正は終わってなく、プラス思考が定着した状態ではないのです。
ですので、③が望ましいと言えましょう。今が幸せと実感ができ、この状態を続けたいと思える、
そして、プラス思考が癖として定着していると実感できるときこそが、最もおすすめするご卒業のタイミングです。
7.ヒント集
統合失調症に関する補足の投稿も書いています。以下の中から気になる記事をご覧になってみてください。
- 統合失調症 長い苦しみを少しずつ改善する その3
- 統合失調症 長い苦しみを少しずつ改善する その2
- 統合失調症 本人も家族も、苦しみがとにかく長い
- 統合失調症 原因と契機 の まとめ編
- 統合失調症 原因と契機 の実践編
- 統合失調症 原因と契機
- 統合失調症について